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해은대

この町には、近くに、海があります。他にもありますが、確かに海といえば、海雲台があります。晴れの日は、平日はそこそこ、夕方はたくさんの人がいます。でも私は平日の雲が出て、雨も少し降り出した、人がひとりかふたりしか砂浜を歩いていない、海雲台が好きです。ゴールが、架空のビーチサッカーのコート分引き離されて、ふたつ向かいあっています。遠くからみると、その他には人と海しかありません。僕は他の人たちから離れて、一段高くなったホテルの脇に砂浜に沿ってつくられている、舗装された道のうえを歩きます。ひとりでフードをかぶったり、かぶらなかったりしながら歩きます。波がたてる音が聞こえます。半島や島の影が見えます。大きなホテルの一階につくられたカフェのなかで、カウチに腰掛けて人々がゆったりとしているのがみえます。ホテルの敷地は大きく、松がたくさん、他の木も植えてあります。改修のためか、窓ガラスがとられているホテルもあります。SamsungやAsahiといった文字がみえます。立面となっている客室のグリッドに人はなく、テラスドアがあいたままで、わらのような素材で編まれたイスが各室に二個ずつ、バルコニーで向かい合っています。時間は昼過ぎです。ドラマチックなものはありません。眼鏡に雨だれが出来ます。それをぬぐいたいという欲望を押しとどめながら、僕は軽い頭痛と軽い空腹のなかを歩きます。さえぎるものは何もなく、自然な歩幅で進みます。
町のなかで、ついさっきみた、ふたりの自転車のりが、砂浜を海のほうから、こちらへ戻ってきます。彼らのうちひとりは、Fly Emiratesのロゴの入ったユニフォームを着ています。だから私は遠くからでも、彼らを識別できたのです。ザックをしょっているので、背中の側はみえませんでしたが、おそらく有名なサッカークラブのものだと思います。そうやって歩いていき、私はStarbucksにたどり着きます。
私は故郷で頼むものと同じ、カフェ・モカのアイスのトール・サイズを注文します。でもサイズはより大きく、上には生クリームが大量にのっています。味も少し異なります。カップのかたちも違います。二階にのぼると、空席ばかりですが、それでも海側の席はうまっているようです。私は奥のほうに首尾よくひとつのテーブルをみつけます。コートをぬいで、海をみるために座ると、ビルの大きな白色のブレースが、景色をさえぎります。サッシ枠も、それをさえぎります。
耳に入るのは、スピーカーから流れる、シンバルやトランペットの音、携帯電話の音、おばさんたちのお喋りの音です。波は白くくだけ、傘を持っている人と、持っていない人がみえます。砂浜にはまれに人があらわれ、それは松の木のうしろに隠れたりもしますし、誰もいないこともあります。向かいあった二つのゴールだけがじっとそこにあります。黄色や赤のブイが流れをやりすごしています。
さえぎるものに不満を持つことは、もう僕はありません。それは美への諦めの気持ちではありません。僕は人がたくさんいるのでも、全くいないわけでもない、このような海が好きなのです。よくみがいた白いマグのように、東名でもなく、拭きあとや雨だれのこびりついた窓ガラスのように不潔でもなく、持ち帰り用のアイス・カフェ・モカのプラスチックの容器のように、ゆがみながら光をうつし、へこみながら元に戻り、内容に汚されながらも汚されない場所を残している、そういうものやことや状態が好きなのです。だから海鳥がいなくても、アパートが立ちのぼろうとも、ドイツ人が歩こうとも、サーファーが二人で波に向かおうとも、何が海をさえぎろうとも、雲と海とこの時刻が、全てを許してくれるのです。


2014.03.27(Thu) - 釜山 2014





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