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ジュンパ・ラヒリ 低地

浮遊する視点。章毎で語り手が(一応)定まっていながら、その章内で別の語り手の考えや思いや独白が、堂々と始まる。これは一体誰の言葉なのだろう?と読み手は立ち止まる。そして、少し時間をかけて物語世界をみわたす。
内なる声と、実際に声に出されたことと、出来事を見ることと、実際の地球や都市の動きと。これらも境界線を最低限にしか(改行や句読点を用いるのみで)明らかにせずに、散文詩のように流れるようにかかれながら、詩ではなく物語として成立している。

(p89-91)
米で一人で研究生活をおくるウダヤンと、一人息子を育てるホリーとの出会い。ヒトでを腕にのせる感覚と、橋梁のケーブル長さの示す印米の距離。

(p295-296)
「この子の母親は、ほかに何を残したのか。ベラの右腕の肘のすぐ上あたり、自分では腕をひねらないと見えない位置に、ぽつぽつと星座のように出ているのが、母親譲りの肌の色だ。」
「ロードアイランドの家のベラの部屋で、もう一つ、母親の名残というべきものが現れるようになった。壁の一隅に、わずかな時間だけ影が出る。これがベラには母の面影に見えたのだ。似ていると気づいたのは母がいなくなってからだったが、そう思ってしまえば、もう心の中から追い出せることではなかった。
影を見ていると、母の額から鼻にかけての線がたどれた。口と顎もわかる。影の出所はわからない。木の枝なのか、屋根の庇なのか。どういう光線の具合なのか、ベラにはわからないままだった」
「朝になると必ず出てくる幻影に、こうして母が来るのだとベラは思った。見上げる空の雲が何かに似ていると思うことはあるだろう。そんな偶然と同じかもしれない。だが影は雲のように分かれず、ほかの形になることもなかった」

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2015.05.29(Fri) - 書評 2015





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