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フリオ・リャマサーレス 無声映画のシーン

過去の回想という形式から、記憶や時間(写真)というテーマを強く意識させられる。「ヴェネツィア」の作者、ヨシフ・ブロツキーを思い出す。
 「アルバムを、あるいは同じことだが時間の糸を、手繰っていくと、記憶がそのときどきの状況をよみがえらせる」 「一九六四年の夏といえば、ぼくがさまざまな色彩が存在することを知り、それとともにあちこち動き回るようになった頃だ」「が、それからオリューロスの町を出ていくまでの間に記憶は大きく膨れ上がり、少しずつ広がりと深みを増しはじめた」

この本の特徴は、「全てを読み終えなくても、その本質を理解できるのではないか」と思わせるところにある。
 5.一度だけの人生
 10.アラブ音楽
 11.顎の上の世界
 17.鯨の肉
 19.コンポステーラの楽団
 20.ストライキ
 21.国道のユダ
 22.タンゴ
 23.若葉
初読で気になった上記九章(この本は28の断章で構成されている)をメモしておいて、最後に今いちど読みなおした。このうち、17については、自分でも驚いたのだが、全く内容を覚えていなかった。それに対して、19~23は内容が割合連続して展開しており、読んでいて良いなぁとおもった点---町の風景・父親像・ユダと呼ばれている変わり者・お調子者といった、それぞれのイメージが焼き付けられた核のようなもの---について思い出すことが出来た。
恐れ多くも正直に言うと、決して読んでいて楽しかったり、驚きがあったり、切実さに身をふるわされたり、文体にうならされたりすることはなく、若かりし頃についての一定の見方が固定化された「回想」という風に読め、美しかったり、滑稽であったりはするけれども、スリリングさはあまりないように感じられた。それほどに安定した心境の上に成立しているがゆえに、こちら側の状況が、忙しくてどこか一章しか読めなくても、あるいは嫌なことがあって人生に疲れてしまっていたとしても、はたまた偶然に本屋で立ち読みをしただけだとしても、どういったときでも、同じような色合いを読者に与えてくれるのだろう(人が本を読む心境など、作者にわかるはずはないのだから)。

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2015.05.29(Fri) - 書評 2015





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