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黒い動物達

中心駅S付近の喫茶店
私の隣のイスの下に黒い鳥があらわれる。
じっとして、部屋の一点をみつめている。
そのイスに座っていた女の腰が上がり、
掛けていたストールとオーバーオールをとりあげて出ていく。
鳥も一緒に飛び立ち、後には不整形な残り香が残る。

夕方の4時、店内は多くの男女でにぎわっている。
すぐに再び、一組の男女が席につく。
イスの下に、今度はみたことのない、形容できない生き物があらわれる。
小さな耳が2つ、四角い顔についている。
真っ黒なカバだって、奇憚多き東京ならいてもおかしくない。

イスには髪を金色に染め、アイシャドーとつけまつげで目が黒く縁取られた女が、
足を組んで座りながら、煙をふいている。
彼らは20分ほどの間に、私が読書に熱中している隙に、席をたっている。
当然ながら、もう、動物は、姿をけしている。

私は一人で席を立ち、街へ戻る。
できれば黒い動物達と同じようにして、行方をくらましてしまいたい。
外は、五時前だというのに、闇が迫っている。
カフェでは、じっと、
孤独なものどもが、沿い歩く主人達を待っているのが、その息づかいすらも感じられる。
光輝くスポットライトや、ダウンライトに照らされて、
パルメザンチーズやトマトソースの臭いに、鼻をくんくんさせながら、
彼らはじっと、たたずんでいる。

その彼らと私と、なにが違うというのだ。
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2012.12.29(Sat) - 詩と作文 2012





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