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お医者さんのドラマ

女は夫婦の寝室で、iphoneでドラマを見ている。
男は自分の部屋で、アメリカの短編アンソロジーを読んでいる。

男は女の横に寝そべる。
「どうしてそんなものを見るの?こっちのほうがはるかにおもしろいのに。」
そう言いたいが、決して言わない。

代わりに、「何をみているの?」と聞く。
聞くまでもない。見ればわかることだ。

「お医者さんのドラマよ。」
それからこう続ける。「私、お医者さんのドラマなら何でも好き。」

夫は自分の部屋へ戻る。
じりじり、じりじりと、体のなかで電気がくすぶる。
もともと読んでいたストーリーに戻る。

彼が優れた短編を読み切ったとき、
突然、寒い中に一人歩き出て、不意に背骨が空洞になって、そこに冷気が通り抜けるように、
体の中でじりじりと、電気が渦巻いて、離れない。

それが優れた短編を通過したときの「しるし」なのだ、と、彼は思う。
そこへ「お医者さんのドラマ」を見終わった直後の妻が、フローリングを軋ませながら入ってくる。
電気は空気中に逃げ去り、蒸した熱気と体臭が、空洞に戻ってくる。
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2012.12.22(Sat) - 詩と作文 2012





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