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小銭

台風一過の東京
社員の一人がエスケープ
残された仕事は俺たちの身に降りかかり
置き去りにされた現場は無法地帯

今日も深夜まで清掃
汚れた作業服にくるまれた体ひきずって
自動販売機の前に立つ
迷った末にサイダーを選ぶ。さっきも飲んだけれど。

別にただ喉をうるおせれば
そんなにたくさん、選択肢はなくてよかった。
受け皿からこぼれ出た10円玉は、
腰をかがめるのも面倒だし
そのまま置き去りにして帰ろう。


明くる日の休日
13時まで眠った。
開いた携帯に着信履歴。
男たちの仕事に終わりは無い。

資格取得のための塾を休む。
先週も台風のために休んでしまった。
費用は遠い親戚持ち。
いくらとは言わないけれど、馬鹿にならない値段だ。

喫茶店に行って、ミルクコーヒーを飲もう。
語り合った夢みたいに、大きくならないでもよかった。
大切なのはこの小銭。
これがあれば空しい今日も
まぶたの上の痛みもなくなるだろう。


・・・置き去りにされた小銭を集めて
東京にしがみつくぼろ雑巾みたいな奴らで
一晩パーティーを開こう・・・


別にただ喉をうるおせればよかった。
給料がいくらだとしても関係ない。
大切なのはこの小銭。
遠い親戚の祈りは
見えない場所でまだ、響き続けている。
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2011.10.12(Wed) - 詩と作文





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