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建築の課題の敷地

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思案するまでも無く、不思議な魅力を感じる敷地だった。
とても珍しいことだ。

あるイタリア人の作家があげた、次の千年紀の文学の6つのポイントの中のひとつに、「正確さ」がある。

その町のエントランスはわかりにくかった。
平面的に広がるバス停にはバスがたくさんいた。
バラックの店の集合体と工事中の塀は町を隠していた。
町へ向かう途中にあった病院や幼稚園の雰囲気に違和感は少なかった。

角をまがっただけなのに、はっきりとその町に入った気がした。
東京のひとつやふたつの通りが再現されたように、建物のスケールも空地の影も急に大きくなった。
たしかに町といえそうなものが出来あがっていた。

しかし、ガラスのカーテンウォールの四角いビルだった。
リスボンでは見たことがない建物だった。

その町のいくつかの通りは直行して走っているのだが、
通りに線形に並んだビルとビルの隙間が見えたのだった。
道の片側はすすけた駐車場で、片側はよく整備された緑地帯。
どちらにせよスケール感が、東京でよく計画されがちな比率の空地帯であったような覚えがある。

人の通行量が妙に少なかった。
あんなに車があるのにもかかわらず。
リスボンの人懐っこさと町並みの組み合わせが、ここではあてはまらなかった。

細長く続くビル郡はあるところでは壁のように建っていた。
そうでないところには、原広司似のビルがあった。
敷地である、線形の緑地帯は、高さがばらばらのビル壁のむこうにあるようだった。

裏手の丘に、打ち捨てられた階段で上った。
長い間手入れされていない、昔されたであろう人があるく道の計画だけがされている線形の公園に出た。

建造中の町のように先ほど通ってきた建物が見える。
2つのツインタワーはホテル。
そこから伸びる通りに沿って高さも種類もばらばらな建造物。
きれいなものではない。朽ちかけているものも珍しくない。
なぜかこの風景に感動した。
不覚にも落ち着きを感じた。懐かしくはなかった。

それはあまりにも成長しすぎたススキがビルの一部分を隠していたからかもしれない。
その公園は全く人の流れの断ち切られた場所にあって、計画としては最悪と思われた。
しかしながらそこからの町の眺めは心に共振するものがあった。
あっけらかんとしたものを感じた。

遠くに見えるハイウェイに沢山の車が見えた。
電車がはしり、空には航空機が5分に1本ぐらいのペースでとんでいた。
ただ一部だけ完成したようにみえる通りに沿ってできた町は死んでいるわけでも生き生きしているわけでもなかった。

ただそこにあるだけのように見えた。
悠久の時を象徴するように、銀行の看板がくるくると左回転にゆるやかに回っていた。
建物のイメージと、そこにいる人のイメージと、その町の全体的イメージが、ばらばらだった。

バスに乗って帰った。
何も不自然を感じることは無く、景色だけが過ぎていった。

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2008.10.02(Thu) - リスボン追記





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