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1号館

地下室でシャワーをあびたあと
ながれこむ空気がつめたくて
白くてかりを放つ床のうえで
ただ単純にふるえていたんだけれど

エレベーターがひらいたとき
知らない部屋のひとつの扉から
水色のレギンスをはいたひとりの女が
うつむきながらやってきて

ぺたぺたと音がした
彼女ははだしだった
手にはコピー用紙が零れ落ちそうなくらい入った
紙袋をかかえて

もうすぐ消えてしまいそうなくらい
またぺたぺたと音をたてながら静かに
先におりた彼女はまた
ひかりでみちた廊下をあるいていった

つみあげてもつみあげても
崩したくなる衝動、壊されてしまう恐怖と戦いながら
謎だらけのこの建物のなかで
僕たちは寝て、起きて
ときにはこんなふうにお互いに
みるはずのない後姿をつむいでしまう


寒い一月だけれど
ぼくのいつもいるこの煉瓦の館のなかはあたたかくて
階段の途中の窓からは
葉っぱを全部おとしきったイチョウの木がみえた

この建物にきて一年くらいのあいだは
三階につくとどこかの部屋から
するするとバイオリンの音が
ながれだしてきて

いつもたちどまってしまう
固く閉ざされた扉のむこうから
いくども同じフレーズがくりかえされて
同じ場所 同じ時間に

結局それが誰かもわからないまま
いまはもう聞こえなくなってしまったけれど
静かな扉のまえあたりの一面は
白いひかりでみちている

つみあげてもつみあげても
崩したくなる衝動、壊されてしまう恐怖と戦いながら
謎だらけのこの建物のなかで
僕たちは寝て、起きて
ときにはこんなふうに一人きりで
少しときがとまったような時間をすごすこともできる




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2011.01.15(Sat) - 詩と作文





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